『ブリヂストンモールトンの BSM-S18とタイレルのFSXを比べてみました』
今回は英国モールトンと日本のタイレルをご紹介します。あなたならどちらを選びますか?今回比べるこの2機種は同じ程度のコンポーネントで組んでいくと同じくらいの価格になってきます。サイクルパラダイスでも、良くお買い取りさせて頂く車体なだけに、お客様からも様々なご意見を頂いています。どちらのブランドもフォールディングバイクメインのミニベロ作りではなく、走りを重視したミニベロを作るメーカーです。その中で折りたたみ機能がある車体を選びました。どちらも既存のミニベロにとらわれず、ミニベロを設計し、こだわり抜いた機能を持っています。もちろん高価な車体だけに、どちらも価値あるお買い取り車体として扱っています。どういったポイントをサイパラスタッフが見ているかを知って頂いて、この2機種の参考にして頂ければ幸いです。
「ミニベロバイクに求める性能」
今回ご紹介の車体は、それほど折り畳み機能を重視していません。もちろんその折りたたみ方にも違いはありますが、本来の折りたたみではないミニベロに、フォールディング機能を追加している点は同じです。コンパクト性を重視して小径車を選ぶ方も多いですが、この2台にはあてはまりません。比較的にミニベロはスポーツバイクとして見たときに、そのコンパクト性がために、自転車としての機能がロードバイクやクロスバイクより劣ってしまう事があります。ですがそういったデメリットになりかねない小径という機能を、この2台はクリアするばかりか、小径ホイールでしか味わえない性能、楽しさ、良さを新たに求めて挑戦していると言ってもいいでしょう。
快適性を求めたモールトンのサスペンション
大きくいえばこの2台の違いは、快適性かスポーツ走行性能かになるでしょう。モールトンは独自のサスペンション機能を前後に搭載しています。ブリヂストンとの共同開発によって、モールトン博士が追い求めた乗り心地を、ブリヂストンが見事に実現しています。リヤのショックダンパーには特種なブッシュが層になって組み込まれ、ブッシュダンパーでありながら、単純な柔らかさ以上の振動吸収を実現しています。それはフロントショックも同じで、まるで飛行機の車輪のようにデザインしたサスペンションは、コンパクトでありながら必要なストロークと強度を確保しています。
【様々なミニベロブランドについてはこちらら】
スポーツ機能を求めたタイレル
初めてタイレルに乗った事がある方なら、その剛性感や、加速性の良さ、ミニベロにはない安定感に驚く事でしょう。まるでロードバイクと言ってしまえば簡単ですが、ロードバイクにはない出足の良さと、ミニベロにはない疾走感は、このタイレルだからこそ成し得た性能です。そして折り畳み機能を入れる事によって、失ってしまう剛性や軽量性をこのFSXは見事に克服しています。実際にパッと見ただけでは折り畳む事ができるとは思えないでしょう。その機構はタイレル独自のもので、フォールディングバイクであるとは忘れてしまうほど、タイレルらしい乗りやすさを実現しています。
この両ブランドが似ている部分
これだけ違うコンセプトで作られた両ブランドですが、似ている部分もあります。走行性能としての安定感は小さな自転車に取ってとても重要です。そのためにホイールベースは、長く作られています。これによって直進の安定性は増し、前後の車輪の間に位置するライダーが加速時、停車時にかかる重力に対しての安定性を得ています。またこの二つのブランドは、いかにコンパクトに折り畳めるかの結論として、ホイールを小さくしたのではなく、その開発ヒストリーを紐解いていくと、小径ホイールだからこそ得られる性能を求めて開発されています。
ブリヂストンモールトンの BSM-S18
ホイールサイズ17インチ、18段変速、前後サスペンション付き、フレーム素材アルミ、車体重量12.7kg。専用のホイール、タイヤまで開発し、乗り心地のいいミニベロとはなにか?を追求して作られた、まさしく現在のスポーツバイクで求められている機能の一つ、快適性を当時から模索して生まれたブランドであり、ブリヂストンとのコラボレーションによって新たに生まれたモールトンが、このBSM-S18です。
タイレルのFSX
ホイールサイズ20インチ、22段仕様、前後リジットタイプのフレーム構造、フレーム素材アルミ、車体重量8.5kg。ハイドロフォーミングによって生まれた走りの性能を支えるアルミ、ダブルバテッドチュービング。上下異なるサイズのヘッドパーツとカーボンフォーク。こうしてスペックを見ていくだけでも、現代のスポーツバイクの技術が、惜しみなく投入されたミニベロスポーツといえるのが、このFSXです。
【この2車種を比べると】
英国にそのルーツを持つブリヂストンモールトン。日本から生まれたタイレル。同じ島国で生まれ、さほど大きくない国土をもつ、この二つの国で生まれた2台は、全く違う高い性能をもった自転車です。どちらのブランドも、作り手の思いや性格が伝わるようなデザインと、それを反映する性能を感じます。シルキーライドと評されるモールトン、ロードバイク並の性能と評されるタイレル。これは好みの問題ですが、その好みがデザインにも大きく表れている事に、個人的にはこの2台を取り上げた意味があると思っています。サイパラでよく、お買取りさせて頂く方からもデザインが気に入っているけど、手放しますという方は実は少ないのです。個人的な意見では、その方がバイシクルライフに求める性能は、好みのデザインに表れていると、感じる事が多いのです。明らかに違う性能とデザインのこの2台を、まずは好みのデザインから興味を持って頂いてもいいと思います。