ついにスラムがリヤ12速化を果たしました。フロントシングルの1x11を打ち出したスラムとしては当然のアップグレードだと思いますが、やはり12速となると昔のボスフリー5速の時代からすれば、2倍のギヤレシオは凄い事です。ある意味では、自転車の乗り方が変わる程のアップグレードと言ってもいいかもしれません。そして個人的に気になったのがデザインとカラーリングです。スラムが発端ではありませんが、ブラック&レッドのカラーリングは、ロードの世界においても今でも一つのトレンドカラーでもあります。そのスラムがブラック&ゴールドで新製品を出してきました。グループセット(ここではコンポーネントではなくあえて)メーカーは現在ほぼ大手3社のマーケットです。ですので、このメカ類のカラーリングによって全てのスポーツバイクメーカーのバイクの雰囲気が決る要素は大きいと考えます。そういった意味でも、この12速化は、次のレッドや、11速化したばかりのシマノ、11速化のトレンドセッター以後、二の足を踏むカンパニョーロなど、他のメーカーに大きな影響を及ぼしそうです。
12速という大きなアップグレードに伴い生じる、チェーンの脱落。それをX-SYNCから「X-SYNC2」へと進化させています。歯の形状を見ればわかりますが、変速性能を最大限に意識したシマノとは違い、進行方向へチェーンを捕まえるようなデザインになっています。スラムはX-SYNC2により、チェーン外れだけでなく、低フリクション(簡単に言えば低摩擦)とローノイズを向上させているとあります。
チェーンリングは30〜38Tまでを2Tづつ用意しているようです。スラムらしいマウンテンバイクに似合うエッジの効いたデザインと、落ち着いたグラフィックが渋いですね。
個人的に今回の新しいイーグルの中で、もっとも美しいと思わせてくれたのがこのカセットです。10T〜50Tをカバーする巨大なカセットですが、ロー側50Tブラックカラーのスリットデザインが、手前11速ゴールドカラーのギヤのデザインとのコントラストが素晴らしい。かつてのREDでのインゴット削り出しも驚きましたが、このセンスはなかなかのモノです。どうやらブラックカラーも用意されているようですが、ゴールドで車体コーディネイトのアクセントにしたくなります。
チェーンもゴールドを用意してきましたね。こちらもブラックカラーも用意されています。このあたりはユーザーの気持ちを良く理解していますね。チェーンまでゴールドはちょっと、という方は多いのではないでしょうか。どうやらこのゴールドカラーは、アクセントカラーとしてではなく窒化チタンコートがかかっているようです。カラーリングさえも機能美としてデザインされているとなると、ぐっと所有欲をくすぐります。
10〜50Tのギヤレシオを支えるリヤディレイラー。鍛造アルミとカーボンで構成されているようです。曲線の美しいカンパからよりメカニカルなシマノ、それをさらにメカニカルな感じにしたデザインは、最近の多機能化するマウンテンバイクに似合いそうです。
グリップシフトと、トリガーシフト。これらもラベルの問題だけの気がしますが、ゴールドとブラックが用意されています。個人的にはこのグリップシフターは、利にかなっているといつも思っているのですが、それほどの普及率ではないですね。グリップ選択の狭さの問題なのでしょうか?とはいえ片方のみのシフター機構は、見た目のシンプルもそうですが、メンテナンス性、軽量性、そしてギヤ変速に経験と技量を要する、3×10という変速機構に対して、シフトチェンジに悩む事なく、フィールドで遊べるという大きなアドバンテージになる事は間違いありません。
「X01イーグル」も登場。決してXX1イーグル廉価版じゃないぞとスラムは言いますが、そう考えてしまうのが普通でしょう。基本的な構造は同じで、素材などが違うようです。確かにセット全体の価格が3万も変わらない。これは悩みますね。
いずれにしても、ここの所のスラムの動きはかなりいいですね。油圧化していくロード業界に対しても、カンパに比べ得意分野としか言いようのないスラム優勢です。業界のスタンダードとなったゆえに、色々と変更の難しいシマノ。スラムは後だしジャンケン的な見方もありますが、その発想とコンセプトに遊び心をいつも感じます。最近スラムのオフィスが話題になっていますが、自転車で乗り入れられてしまうあのオフィスを見ると、スラムのデザイン性の高さや自由なモノ作りに納得します。デビュー当初はデザインこそ好みとしても、やはり機能面でシマノと比べてしまう所がありました。特にリヤ変速は良くても、フロントの変速は厳しいものがありました。完成車でさえフロントだけシマノ仕様といった感じでしたから。それが逆転の発想からではないでしょうが、フロントディレイラー事体をなくしてしまうのは、今や業界での一つのトレンドを牽引していると言っていいでしょう。今やシマノと比べるというより、別のシステムと考えてもいいと思います。
自転車には様々な使い方、遊び方、競技、趣味性があります。そういった事を考えると多様性は非常に重要と言えるでしょう。多様性は更なる進化を促し、細分化されることによって、様々なシーンにスポットが当たるといった考え方もできます。現在のバイクブランンドは、様々な側面がありますが、一時期のマウンテンバイクのような自由さや遊び心がなく、すべてがマーケティングによって生み出された企画のように感じてしまう事もあります。グラベルロードや、オールマウンテンなど業界は細分化を謳っていますが、そこに表れる自転車は規格に収まったものばかりのように感じます。そして他社がすぐに追随するという図式。仕方のない事ですが、頑張っているメーカーも沢山あります。遊び心がなければ、遊び道具を作れない。そう思いながら日々、自分も精進していきます。
各種スポーツバイク、自転車パーツの買取り
年式がそろそろ2016年モデルが出揃いはじめました。2015年モデルも高価買取対象ですが、2016年モデルは使用頻度も、おのずと少ないので、期待に応えるお買取りをさせて頂く自信がございます。様々な年式、グレードがあるスポーツバイク関連商品は、サイクルパラダイへ是非ともご相談ください。
買取強化ブランド一覧はこちら